技術資料
PWMコントロール機能付きファン
1. 概要
PWMコントロール機能とは,「Pulse Width Modulation(パルス幅変調)」を用いた制御機能であり,コントロール端子-GND間に入力するパルス信号のデューティ比を変化させることにより,ファンの回転速度を外部からコントロールする機能です。
装置の発熱状態(負荷状態)の変化に応じて,必要なときに最適な風量を調整できるため,効率よく冷却でき,消費電力の低減や装置の低騒音に効果があります。
PWMコントロール機能には,以下の利点があります。
(1)デジタル入力(PWM信号)のため,細密な制御ができます。
(2)デジタル入力(PWM信号)のため,複数のファンを制御できます。
(3)使用者の要求にあわせて,入力するPWM信号に対する回転速度をカスタマイズし,例えば,PWM信号がデューティ0%時にファン停止,または低速で回転するなどの仕様にすることもできます。
2. PWMデューティ 入力信号例,結線図例について
PWM入力信号は電圧入力の他,オープンコレクタ,ドレイン入力でも使用できます。
オープンコレクタ,ドレイン入力で使用した場合,または異なる電圧,周波数を入力した場合には,PWMデューティに対する回転速度特性が変化する場合や,故障する可能性があります。
入力信号の電圧,周波数は型番ごとに異なりますので,詳細はお問い合わせください。
3. PWMデューティ,回転速度特性について
PWMコントロール機能付きファンは,以下の特性のように,入力するPWM信号のデューティ比に応じてファンの回転速度が変化します。
使用者自身で回転速度の設定ができ,必要なときに必要な回転速度で運転ができます。
また,使用者の要求にあわせて,PWM信号に対する回転速度をカスタマイズし,ファン停止や低速回転するなどの仕様にすることもできます。
以下の内容は,PWMデューティサイクル0%時にファンが停止する仕様の特性例です。仕様は型番ごとに異なりますので,詳細はお問い合わせください。
PWMデューティ・回転速度特性グラフの破線,もしくは線がない部分は,回転速度が安定しない領域を示しています。
(上図ではPWMデューティサイクル:20%以下)
4. 装置実装試験などでPWM信号発生器なしで,PWMデューティ100%の性能または,PWMデューティ0%の性能を得たい場合
PWMデューティ 100%の性能・・・・・・ コントロール線を接続しないでオープン状態としてください。※
PWMデューティ 0%の性能・・・・・・ コントロール線を⊖線に直接接続してください。
※型番ごとに異なりますので,詳細はプロダクトサイトを参照ください。
5. PWMコントロール機能付きファンの適用例
(1)装置温度に応じて速度制御をおこないます
装置上の空気温度や部品温度を感知するサーミスタと,PWM制御回路の組み合わせにより,装置の温度変化に応じてPWMコントロール機能付きファンを制御します。
(2)複数のファンを同時に制御します
デジタル入力(PWM信号)による制御のため,ファンの種類や入力電圧に関係なく,複数のファンを同時に制御することができます。
図のように,装置内にPWM特性の異なる製品を複数設置し同時に制御することで,装置の状態の変化に応じて必要な風量を調整できるため,消費電力の低減や装置の低騒音に効果があります。
モード | PWMデューティ | ファンA | ファンB,C |
フル運転 | 100% | 5000 min-1 | 5000 min-1 |
通常運転 | 60% | 3500 min-1 | 4000 min-1 |
スタンバイ(省エネ) | 0% | 停止 | 1500 min-1 |
San Ace PWMコントローラ
■特長
装置の低消費電力,低騒音に貢献
PWMコントロール制御のためには,PWM回路をあらたに設計する必要がありました。
この製品を使用すれば,あらたな回路設計せずにPWMコントロール機能付きファンを活用でき,装置の低消費電力,低騒音に貢献します。
電源はファンと共通
定格電圧 12 V/24 V/48 Vのファンと共通の電源で使用できます。
最大4台までファンを接続
PWMコントロール機能付きファンを最大4台まで接続して使用できます。
詳細は,プロダクトサイトを参照ください。最終更新日:2024年9月