SANYO DENKI(山洋電気) PRODUCTS

技術資料

ファンの選定手引き

ファンの選定方法

装置の発熱を強制空冷により冷却するにあたり,ファン選定の目安となる方法を例題を用いて解説します。

装置の仕様・条件の決定

装置内部の温度上昇を何度にするべきか明確にし,装置の入力・出力などから装置内部で発生する総発熱量を求めます。
例) V:装置の総発熱量 (W)=100(W)
△T:内部の温度上昇 (K)=15(K)

装置の仕様・条件の決定

冷却に必要な動作風量の算出

装置の仕様・条件が決まったら,その条件を満足するために必要な動作風量を計算により求めます。
(ただし,下記の計算式は放熱を全てファンの冷却風によりおこなうと仮定した場合。)

冷却に必要な動作風量の算出

ファンの選定

動作風量が決定したらその値をもとにファンを選定します。
ファンを実際に装置に組み込んだ時の動作風量は風量・静圧特性のグラフと装置の圧力損失から求めることができます。
しかし,圧力損失は測定装置がなければ測定できないため,一般的には動作風量の1.5 ~ 2倍(動作風量は最大風量の1/2 ~ 2/3)のファンを選びます。

仮に動作風量が最大風量の2/3とすると,
例)Q:最大風量(m3/min)
Q'=Q×2/3
Q=Q'×3/2=0.33×3/2≒0.5(m3/min)
次にカタログより最大風量が0.5(m3/min)以上で装置内のスペースに納まるサイズのファンを探します。
仮に,60角25厚のファンで12 V定格とすると,9RA0612H4001(最大風量0.54 m3/min)となります。

風量・静圧特性と装置圧力損失特性

選定したファンの確認

総発熱量100(W)の装置を最大風量0.54(m3/min)のファン(9RA0612H4001)で強制空冷した場合,装置内部の温度上昇を計算します。
例)Q'=Q×2/3=0.54×2/3≒0.36(m3/min)
△T=V/20Q'=100(W)/20×0.36(m3/min)≒13.9(K)
計算式より装置内の温度上昇は13.9(K)となります。

なお,この計算式で求められた値はあくまでも目安ですので,最終的なファンの選定は実装試験によりおこなってください。

装置内の通風抵抗と風量が測定できる小型測定器

San Ace エアフローテスター

■特長
装置に最適なファンの選定ができる

測定の結果を熱設計などのシミュレーションに使用することで,装置に最適なファンをかんたん,かつ的確に選定できます。

小型,軽量

約6 kgと小型で持ち運びができ,測定のために大型の装置を移動させる必要がありません。

詳細は,プロダクトサイトを参照ください。

San Ace エアフローテスター

最終更新日:2023年5月

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